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歴史認識ワークグループ紹介エッセイ

はじめに

皆さんこんにちは。私達はユースフォーラム歴史認識戦後補償プロジェクトチームです。現在のメンバーになったのは第三回からで、現在数人で運営しています。構成メンバーは20代から30代までの、仕事をしている人や大学院生、学生など比較的にばらけています。人となりもバラバラで趣味も嗜好も指向も違う、といった人びとが集まって、基本的には真面目に、時には此の世で最もロクでもない話をしたりしています。さて、私達の活動は「日本・在日・韓国の若い人が一緒に色んな事を考える」という趣旨で推進していまして、その中でも特に歴史認識と戦後補償に連なる諸問題に力点を置いた活動をしています。

ドイツとポーランドの取り組みに心を動かされる

「日韓の間には埋め難い歴史認識の断絶がある」。よく言われている台詞です。確かに今後の両国間の関係の重要な問題になるでしょう。とはいうものの「歴史認識というもの」をどの程度知っているのか、よく考えてみると存外アヤフヤなのではないか?という問いに至ったわけです。当然ですが事業趣旨としては、「日本・在日・韓国の若い人が一緒に色んな事を考える」なので、さしあたって共通の議論のテーブルに着かなくてはいけません。そこに於いて、一つの例がありました。それは近藤孝弘(名古屋大学助教授)さんの『国際歴史教科書対話』(中公新書)と彼が出演したドキュメント番組(『ETV特集・ドイツ歴史教科書 ポーランドとの対話 加害と向き合う(3回シリーズ)』NHK教育1997年)でした。それは、日本と同じ枢軸国であったドイツが被害を与えた周辺諸国(特にポーランド・チェコ等)との歴史教科書の記述をめぐる対話でした。冷戦最盛期であるにもかかわらず真摯に歴史的事実とその記述をめぐって議論を重ねていくのです。そして最も心を動かされたのはドイツ・ポーランド国境の高校で互いの生徒達が互いの学校で歴史交流授業を受け、また議論をする風景でした。私達は「それをこの日本で真似できないだろうか?その様な歴史学習を提起することは出来ないだろうか?」と考えました。そして「歴史認識」を把握するための手段として我々が使ってきた(そして今の子どもも使っている)教科書を検討する,という展開にいたりました。と同時に日本の歴史認識ばかりではなく、「韓国の教科書に描かれた歴史はどうなっているのだろう?在日は?」ユースフォーラムの精神から鑑みてもそれらの問いに至るのは必然だったといえるでしょう。

教科書の比較検討

はじめにそれらの教科書を集めて歴史的事実の項目を立てて抜き出していく作業に入りました。(日本の高校の教科書と翻訳された韓国のものです。朝鮮学校の教科書は入手できませんでした。)そして先の項目に基づいて各々の教科書を比較検討していく,という手法をとりました。その作業中で次第に明瞭な輪郭を見せはじめたことは詳しくここで書きませんが、国家の管理する歴史,または国家の意義を宣揚するための「歴史」というありかたに限界を感じました。ちなみに日本のもの(1999年までのもの)に関しては想像とは異なり,会社によって記述はまちまちであり,戦後補償に大きなページをさいている物もあり,国家管理という枷の問題性は残るもののその多様性にある種の感慨がありました。韓国のものに関しては,非常に詳細であるが、若干英雄主義的な傾向があり、「歴史を観る」という部分でいえば少々肩に力が入りすぎではと感じるものでした。先ほどのドイツの話が何故あれほどの感動をもよおしたか、それは歴史学者たちのある意味の冷静さ(国家の都合をも考慮しつつなおかつ歴史的事実に真摯に向き合う態度)、市民レベルまで歴史が降りてきていて議論が出来る、という、特権性とは反対の方向を向いているニュートラルな在り方をそこにみたからではないでしょうか。

史的奔流外の普遍化へ

率直に言って既に一介の市民活動の守備範囲を逸脱している、といえるでしょう。「こともあろうに市井の素人が歴史と対峙しようなどと何処の酔狂者か?」との問いは免れないでしょう。近来も素人が「歴史」をいじくるとどうなるかを見せ付けてくれた例がありました。しかし素人だからこそ到達しうる地点もあるのではないでしょうか?何よりも私達は、あのドイツとポーランドの学校の歴史を共に学んでいる情景がとても羨ましくみえたのです。ドイツとポーランドのように、日本と韓国が歴史教科書を共に考え、歴史認識を共に育むといったような観点を持ち得るとすればこれから先の社会は随分と違った顔をみせるのではないでしょうか。私達はそれに参画したいと思うし、歴史を国家から「解放」してあげたいのです。国家御用歴史観を踏み越えて、地域や当事者など大枠の史的奔流外にいたがために省みられる事無く逝った人びとに適切な史的意義を市民の手で普遍化していきたいのです。と、まあダラダラ長く書いちゃったけど、「こいつらってえれぇクソ真面目な連中?」とか思うのやめてね。「悪徳の栄え」かなんか読んで倫理観崩壊しちゃった奴もいるから。ってそれは私だけか(笑)

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