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札幌ドーム チェック報告

文責:バリアフリーチェックPT(ユースフォーラム・DPI日本会議)
調査済み・予定の競技場の一覧はこちら

○今回のチェックは…札幌ドーム(札幌市)

  • 日時:2001年12月10日(月) 13:00〜15:30
  • 場所:札幌市営地下鉄 福住駅−(徒歩15分弱)−札幌ドーム
  • 参加者:9名(フォーラム1名、DPI4名(東京3名、札幌1名)、札幌の障害者団体4名/うち障害者4名参加)
    ※ちなみに、東京からの参加者4名の移動日程は以下の通り
    12月9日(日)  都営地下鉄大江戸線 国立競技場駅−大門駅−(都営浅草線/京急)−羽田空港
    羽田空港−新千歳空港−(鉄道)−札幌駅 (札幌泊)
    12月10日(月) 札幌市営地下鉄さっぽろ駅−福住駅−(バリチェ)
    福住駅−さっぽろ駅−(徒歩)−JR札幌駅−新千歳空港駅
    <大雪のため空港閉鎖、5時間待ってやむなく空港から千歳まで戻り、一泊>
    12月11日(火) 千歳−(タクシー)−新千歳空港
    <10時間弱待ってきわどいタイミングで飛行機に搭乗、夜東京着>
  • 会場側からの参加者:6名(札幌市職員、JAWOC(ドーム設計担当者)など)
  • マスコミ:北海道新聞、札幌タイムス、毎日新聞(札幌版)、朝日新聞、読売新聞(北海道版)、日刊スポーツ(北海道版)、スポーツ報知(北海道版)、道新スポーツ、共同通信、NHK、テレビ北海道、北海道文化放送
    なお、この事業は「平和と人権に基づく日韓市民交流を促進する日韓NGO共同プロジェクト」の一環として、財団法人 庭野平和財団から助成を受けています。

○その1 バリチェ隊、北へ (東京編)

4回目の本チェック(通算5回目)、いよいよ折り返しが近づいてきた日韓バリチェ。今回の舞台は冬本番の札幌、野球もできるしサッカーもできる札幌ドームである。東京からは4名が参加し、前日夜から札幌へ向かうことになった。一緒に札幌へ向かう障害者のMさんの都合などもあって、出発は大江戸線・国立競技場駅からスタートした。

大江戸線が開通したこともあって、首都圏から羽田空港へのアクセスはこれまでよりスムーズになったという。こちらを使って羽田まで行く人も多かろう、ということで道中を軽くチェックすることにした。気がつけばもう12月の午後、風が冷たい。札幌はこれより寒いのだろうか?

大江戸線は全ての駅でエレベータを完備しており、「バリアフリー」は宣伝文句のひとつになっている。そのほかにも、見たところ音声案内、点字ブロックなども備わっており、ハードは整備されているようだ。残念ながら時間の都合もあって詳しく見られたのはエレベータのみだったが。そのエレベータ、大江戸線の構造的な問題(とにかく深い!)もあって、駅構内に何個か設置されている。大きさは大体11人乗り。バリアフリー法で定められた「最低限」の大きさで、車いす利用者が二人利用できるかどうか、というところ。エレベータ利用者はかなり多いので、サッカーの試合時などは大変ではないだろうか?

エレベータに2度乗って、ホームへ。経費削減のため電車のサイズを小さくした大江戸線のホームは、他の鉄道に比べてやや狭い。新設だが、ホームドアや安全柵などがないのは「バリアフリー地下鉄」の失点だろう。

大門から都営浅草線に乗り換えて、羽田空港まで一本。大門駅もエレベータが完備されているが改札の外にあり、アクセスに少々難があった。こちらも11人乗りの大きさ。


国立競技場から1時間弱で羽田空港に到着。駅から改札、そして空港までは全てエレベータがあり、アクセスは確保されている。ただし、エレベータの場所等の表示が小さいため、場所が分かりにくい。駅改札から空港ロビーまでのエレベータなどは店舗を横切って行かなければならず、これでは「知る人ぞ知る」エレベータになってしまう。床への表示や目線レベルでの表示など、情報アクセスの手段はもっと増やすべきだと感じた。これまたエレベータを何度か乗り換えて、出発ロビーへ。

日韓バリアフリーチェックではおそらく初めてになるだろう、空港/航空機のバリチェである。他の交通機関と違って日常的に利用することが少ない航空機は、障害者が利用する場合様々なトラブルが起こるという。日本では、そもそも「障害者であること」を理由に搭乗を拒否したり、そうでなくても出発の前から健康診断書の提示を求められたり、何時間も前から並ばされたり、「座席を多く使うから」と一般客の倍以上の料金を請求したり、一般の乗客とは別のところから搭乗するよう強要されたり…など、差別対応が横行しているという。かつてJR(国鉄)は車いす利用者を「貨物」扱いしていた(今も本質は変わっていないようだが)時期があったが、日本の航空会社は未だにそうした発想を抱え込んでいるのだろうか? 今回チェックに参加したMさんは電動車いす利用者だが、車いす利用者が航空機を利用する場合は、ロビーで航空会社が用意する車いすへの乗り換えが求められるという問題が生じる。

大体の車いすは機内に入れないため、座席までの移動は写真のような車いすを用いることになる。航空機の座席配置の構造の問題があるのだろうが、問題はこの車いすをどこで使うか、である。基本的に、機内の直前で乗り換えればよさそうなものだが、航空会社はなぜか出発ロビーの時点で「乗り換え」を求めてくることが多い。車いす利用者にとって、車いすは自分の身体だ。自分の「身体」をつかって歩くことは、人にとっては当たり前のことなのだが、航空会社の側は、「車いすの積み込みが手間取る」などの理由から、人の身体をバラバラにするような行為を、知ってか知らずか行い続けている。

今回は往復ともJASを使ったが、札幌行きに関してはMさんはシップサイド(航空機の直前まで)まで自分の車いすで行くことができた。今回参加したDPIスタッフのTさんによればJASはどの客も同じ窓口を利用するし、対応も他の航空会社に比べて早いという。他の日本の航空会社は、障害者向けの(直接そうは書かないが)「特別」窓口を用意しているが、このような会社に限って強硬に事前の連絡や「車いすの乗り換え」を要求するのだという。どのような人に対しても「ひとりの客」として応対することが、対人関係の仕事にとって大原則のはずだが、それができない会社ほど多数の路線を抱えている、というのは皮肉な話だ。

なお、JASの車いすは機内にあわせて小型ではあるが、横幅を若干広く取ることで安定性を向上させている、という指摘もあった。

20時前、飛行機は30分ほど遅れて羽田を無事離陸。緊張しながら(私だけではないはず)、1時間15分ほどで新千歳空港へ到着した。このとき、札幌は「まだ」小雪だった。

○その2 バリチェ隊、北へ(札幌編)

新千歳空港から電車に乗り込み、今日の宿がある札幌へと向かった。車窓から見えるのは、根雪がしっかりついた白い風景ばかり。風雪は屋根とホームの隙間を通り抜けるので、乗客の少ない駅のホームは雪原と化している。一週間前に札幌に来ていたTさんは「いつの間に…」とやや青ざめ、Mさんは「車椅子は動くのか?」と緊張する。雪やこんこん、で喜んでいられるのは歌の中だけ、現実はかくも厳しい。

40分くらいで札幌駅に到着。さすがにホームは適度に除雪がしてあり、すべることなく駅を抜ける。新千歳空港から札幌までの路線は、大体の駅にエレベータが設置されており、アクセスについての配慮も大分なされているようだ。札幌の市街地では、人通りの多い表通りにヒーターを埋め込んであり雪もそこそこ融けている。とは言え、凍りついたままの路面も多く、車いすには少々厳しい。札幌ラーメンを軽く堪能して明日に備える。-1℃の気温の下では、ラーメンは非常にありがたいものだということがよく分かった。

この日は「札幌後楽園ホテル」という宿に泊まった。普通の二人部屋だが、入口が広く、バスルームもフラット(中は多少狭いが)になっている。このタイプの部屋しか見ていないので全体の評価にはできないが、使いやすいつくりになっていると言える。部屋で一同、翌日の天気予報をチェックすると「曇り時々雪」。とりあえず、チェックの最中の雪は回避できるか、と安堵した。次の日の朝までは…


○その3 吹雪の中、札幌ドームへ!

さて、チェック当日。外を見ると雪、雪、雪。「ドカ雪」である。昨日路面が見えていた道路も、今や真っ白。いくらなんでもこれでは歩いていくのは大変なのでは、と計画の変更も考えられたものの札幌の障害者団体の方は「大丈夫だよ」と一言。現地の障害者が言うなら大丈夫かな、ということで、予定通り地下鉄を使って、歩いて札幌ドームまで向かうことにした。

札幌ドームは地下鉄東豊線の福住駅が最寄り駅ということで、とりあえず東豊線のさっぽろ駅から乗り込む。他の路線と乗り換えになる駅ということもあってか、情報表示に工夫が見られる。写真にあるように、乗り換えやエレベータ等の情報は、目線レベルと同時に床にも表記してあるほか、エレベータ、各路線ごとに色分けされたラインも引かれていて、これをたどっていけば目的の場所に着くという仕組み。

様々な目線に対応した情報表示がなされているのは評価できる。せっかくだから、全ての駅でこうしたものがあればいいのだが。

早速これをたどってエレベータに乗り込み、改札へ向かう。なお、札幌市営地下鉄は、東豊線が全駅エレベータ完備、他路線も2,3割の駅でエレベータを設置してある。こちらのエレベータは15人乗り。

改札は全て同じ大きさで、車いすが入れない大きさ。駅員がいるスペースもないので、サイドのゲートを開けてホームに向かった。特にとやかく言われないのはいいが、ホームでの対応が必要な際に、どこで問い合わせればいいのかこれでは分からない。

ホームはよくある駅のホーム。電車とホームとの間には多少の段差がある。折りたたみのスロープを駅員がその都度用意する形だ。乗ってから気づいたが、北海道では「車いすのお客様が乗車します」という類のアナウンスは聞かれなかった。都内のJRでよく聞くこのアナウンスは、当事者にとっては心理的な圧迫になる。どのような思惑があるのかは分からないが、「ごくあたりまえに、誰もが施設や設備を利用できる」というのはこのようなところから始まるのではないだろうか。


札幌駅から10分ほどで、福住駅へ。他の参加者はまだ来ていないが、駅構内からチェックを始めることにした。まずは、トイレ。一般トイレには手すりがついているが、階段があるため、車いす利用者は利用できない。紙の自販機は階段の踊り場に設置してあるので、これまた購入はできない。なお、一般トイレ(男子用)のなかはフラット。4つある小便器の1つに手すりがついている。

ユニバーサルデザインのトイレは、押しボタンの自動ドア式。中はオーソドックスなつくりになっている。他のチェック箇所に比べ、幾分便座が低いという意見が聞かれた。洗浄ボタンはサイドにひとつのみ。呼び出しボタンがサイドと足元にあるのだから、洗浄ボタンも増やせなかったものか。洗面はやや小さく、鏡が斜めに配置されていてマイナス。なお、このトイレは男女共用になっている。これもマイナスのポイント。


福住駅にはバスターミナルもあるというので、これも見てみた。駅から改札、ホームまでとはアクセスが異なるので、天気の具合を見がてら一旦外へ。出掛けよりも雪は強まっている。芯まで冷える、とはこんな具合を言うのだろうという程度の寒さ。-4℃くらいのようだ。


バスターミナルは駅と地上の間の離れ小島のような位置にある。乗降口は全てホームドアになっていて安全面への配慮が見られる。ただ、北海道ではノンステップバスなどがまだ整備されていないようで、見るバスはだいたい乗降口が階段のものだった。ハードとしてのターミナル自体は評価できるが、ソフトたるバスに問題があるようだ。また、点字ブロックが配置されているが路面の色と同系色のため、視認しにくそう。

ここまでのチェックを終えたところで、札幌の障害者の方、市役所の職員、JAWOCの札幌担当者(この方はドームの設計にも携わった)、そしてマスコミが合流。これまでにない数のマスコミが集まっているので多少緊張。やはり、DPI世界会議を来年に控え、注目も高いのだろう。

一団が外に出ると、外は更に雪。全員苦笑しつつ札幌ドームへ。雪で前がよく見えない、という経験を4、5年ぶりに体験することになった。

心配されたMさんの電動車いすは、先頭を切って快調に飛ばす。雪まみれの本人曰く「止まったら動かなくなる」とのこと。一方、札幌からの手動車いす利用者の方は苦戦。雪は、車いす利用者にとっては厳しい環境であることを思い知らされる。



○その4 いよいよ札幌ドームのチェック!

15分弱の雪との格闘を経て、札幌ドームの入口へ到着。ドームは高台の上にあるため、2箇所あるゲートまでは、一般の観客は階段を上って、車いす利用者はエレベータを使いながらドームまで行くことになる。道中はところどころヒーターが埋め込まれていて、多少融雪されている。そうでなければ、深い雪の中をかき分けて行かなければならない。北方ならでは、の設備だろう。

上記したように、ゲートまでの道は基本的に一般客と障害者とで分けられている。一般客は階段を用い、車いす利用者や聴覚障害者、視覚障害者はサイドのエレベータを使うルートでゲートに向かう。一般客のルートには点字ブロックがない。鹿島と同様の措置がとられているが、動線の分断はバリアフリーの思想とは異なるものだ。エレベータを使うルートそのものは、音声誘導装置(専用受信機を使用して、入口やエレベータまでの道を案内する)を導入するなど整備されているだけに、これを全施設的に広められなかったのか、と思う。ゲートまでのエレベータは13人乗り。11人乗りよりは広いが、車いす利用者が2人同時に入るには少々キツイ。ゲート前の通路で、一般観客の通路と障害者観客の通路が合流する。今日は設備の点検日ということで、売店や食堂などが空いていないのが残念。

ゲートにも、先程と同じ音声誘導装置がついている。装置と受信機は、札幌市がドーム(ドームの管理運営は、株式会社札幌ドームが委託する形になっている)に貸し出しているという。

簡単なブリーフィングの後、設備の点検中につき試合時に使うルートとは多少異なるルートで観客席へ移動することになった。こちらも、車いす利用者は「専用エレベータ」を使い、その他の客は階段を使って…という具合。移動のルートを分離することを基本にしているためか、札幌ドームは他のスタジアムに比べエレベータが多い。全部で13個あり、うち2つは「搬送用」だが、車いす利用者も使える仕様となっている。私たちが乗ったエレベータは15人乗り(搬送用兼用)で広さはある程度確保されていたが、「専用エレベータ」は13人乗りとなっている。使用については柔軟に対応しているようだ。

エレベータで移動して、いよいよ観客席へ。チェックの際は直前までマスターズリーグが開催していたこともあって、中は野球場モードである。サッカー場として使用する際は、観客席が移動するなど大きく様変わりするようだが、今回は見られなかった。

車いす席は、野球場で言えば外野席、内野席のサイドに位置する。4万人の観客席のうち車いす席は117席。VIPルームにも1,2席ずつあるが、価格を考えると現実的ではなさそうだ。外野席側の車いす席は立見席兼用。立見席の状態になっていた。写真(上)にあるように、バーがついていて確実にサイトラインの妨げになっているが、車いす席として利用する際はこのバーを取るのだという。どのような状況で座席設定を切り替えるかは、イベント内容によるよう。観客席の傾斜はサッカー専用スタジアムに比べ急角度だが、前の客が立つとやはり車いす席の観客のサイトラインは確保できなかった。内野席側の車いす席は、この間のバリチェではマイナス評価になっている、観客の通路が車いす席の前にあるタイプだ。。ただ、、一般観客席の階段が通路の妨げにならないように一応の「工夫」はしてあるそれでも多少通路が狭くなることは確かで、ここはマイナスの評価。ここも前方の観客によってサイトラインが妨げられている。この点は、W杯までに改善されるそうだ。


続いて、トイレをチェック。筒のような外観の「多目的トイレ」は、観客席に8箇所、1Fに4箇所ある。車いす席に比べると数は少ない。実際に試合が行われると、一般客の利用の方が多くなるかもしれない。なお、札幌ドームの「多目的トイレ」はすべて男女共用である。

いくつかのタイプがあるが、トイレ部分の構成は同じ。当事者の意見では「使いやすい」という声が多かった。洗浄ボタン、呼び出しボタンの配置(ひとつずつ)がチェックの対象になるが、それ以外は洗面の広さ、鏡の配置(縦長、フラット)ともに好評価。

別の多目的トイレでは、他のスタジアムでは見られない設備が見受けられた。一つはベビーシート。「多目的」ならでは、といったところだが一般トイレにはついていないようだ。これはさいたまスタジアムのベッドと同様(あちらの場合は、便座を使用できない人がひろく使えるが)だが、もう一つはトイレ自体のバリエーションという点で他にはない設備だ。写真(左)は、オストメイト(人工肛門や人口膀胱の使用者)用の便器。さまざまな観客を想定して、あらゆる人が使えるような設備を整備している点は、高く評価していいのではないだろうか。数が多く男女別に設置されていれば言うことナシ、というところ。設計に携わった職員(現在はJAWOCの札幌担当)の方の話では、建設の事前に複数の障害者団体と折衝を重ねた上で設備をつくったということで、この点は他のスタジアムも見習うべき点だろう。ただし、トイレの表示は少々小さい。


トイレのチェックを終え、移動しながらその他の箇所をチェック。ドーム内は黒を基調にした色使いで統一されていて、整備中で証明をおとしていることもあってとにかく暗いが、通路そのものはフラットである。

写真(上)の、後ろ側のドアは、雪に埋まっていて開けられなかったが、夏期は入退場用のゲートになると言う。職員の方の話によれば、非常時はここから外へ出るようにするという。外野側車いす席の観客は、席から時間をかけずに外に出ることができそう。

写真(中)(下)は見たとおり階段の写真だが、階段の部分のチェックでは、札幌ドームの抱える問題点が浮き彫りになった。まずは階段全体。ほとんどの階段で手すりが柵側にしかない。手すりがない階段というのは誰にとっても危険。特に、今回のチェックのように雪が降るなどして足元がぬれた状態ではなおさらである。

また、階段やさまざまな設備を知らせるための点字表示や点字ブロックが、ドーム内にはない。写真(下)の、階段の手前側は設計業者が「ダンバナ」と言う部分。視覚障害者に対して「ここから先は階段ですよ」ということを知らせる際は、このダンバナの部分を明確に色分けして表示する必要があるが、札幌ドーム側の対応は写真のように黄色いバーが多少埋め込まれている程度である。車いす利用者にとっても、階段の表示などが明確でないと落下の危険がある。参加者からも「階段かどうか、分かりにくい危険性がある」という指摘があった。階段と通路の区別となるブロックパターンも通路と同系色では見にくい。

ドーム内では、ゲート同様に音声誘導装置があって磁気ループの代わりとなるなど、聴覚障害者に対する配慮はある程度あるが、視覚障害者に対する配慮は他の設備に比べると随分少ないように感じられる。 ドーム側が視覚障害者への対応は「人的対応」としていること、またデザイナーの意向が背景にあるようだが、だからと言って視覚障害者も使えるような設備を「つくる必要がない」というわけではないし、バリアをつくっているデザインに「配慮」するというのは問題外。これについては、何らかの対応を講じるよう参加者から市側へ要求が出された。


観客席からエレベータを使い、外へ。フラットに外に出られるゲートがいくつかあり、その一つから外へと出た。外通路には点字ブロックも備わっている。なぜドーム内でなくなってしまうのか、やはり疑問に思われた。

○まとめ

約2時間半ほどで、ドーム内のチェックは終了。さいたま同様に新設のスタジアムであり、また設計段階から障害者の声を聞いたこともあって、「バリアフリー」についてはかなり評価できる点が多かった。その一方で、視覚障害者への対応や車いす利用者の動線の分離など、対応に問題のある部分もあり、ややちぐはぐな印象を受ける部分が多かった。ソフト部分の「バリアフリー」の問題が、ここでも出ているように思った。他のスタジアムに比べれば、アクセスも含めていい点は多いのだが…。

外国人向けの情報表示については、ドームについては英語標記があるくらい。札幌の市街地(繁華街)では英語/韓国語/日本語で位置情報が表示されていたので、ドームでも無理なことはないだろう。


帰りがけに、ようやくドームの全景が拝めた。雪が少し、小降りになった。



バリチェ自体の報告は、以上。最後に、「この後、大変なことに!」という、どこかのテレビ番組のような後日談?チェックの日を含めて3日間、札幌は「35年ぶり」くらいの、記録的な大雪。帰ってからテレビを見て、よくもまあ、こんな日にバリチェをしたものだと驚いた。

本来はチェック後そのまま飛行機で帰京するはずだったが、空港に来てからが、ものすごい降雪。結局滑走路閉鎖ということで、近くの千歳まで戻って一泊。本当に「雪の中を掻き分けて」ホテルに向かった。

千歳でMさんの電動車いすにトラブルが発生(一時的に、充電不可能に!)するなど、緊迫の連続だったが何とか持ち直し、翌朝再度空港へ。必至で除雪作業を行う航空局を密かに応援しつつ、ねばること10時間、きわどいタイミング(直後にまた滑走路閉鎖)で搭乗できた飛行機が離陸、予定より22時間ほど遅れて東京に到着することができた。

出発から帰京まで、約51時間。「バリチェの一番長い日」は、こうして終わったのだった。


○チェック評価

チェック箇所 ポイント
(/満点)
マイナスポイント
155/200 ホーム〜改札 改札の幅が狭い(有人改札):-10
トイレ 鏡の大きさ:-5
水洗ボタンが一つしかない:-5
一般用トイレの段差(階段):-5
エレベータ 広さが不十分(11人乗り):-10
音声誘導 改札口のチャイムがない:-10
計:45点マイナス
駅〜競技場 100/100  なし
競技場 140/200 入口 ・一般客と異なるところから入場:-10
エレベータは完備:+5
車いす用観客席 サイトライン:-50
トイレ ・非常用ボタンが手の届くところにない:-10
・車いす席に対して数が少ない(5〜10人に一穴):-5
・水洗ボタンが一つしかない:-5
オストメイト用トイレがある:+10
エレベータ エレベータの数が多く(13)、誰でも使える:+5
計:60点マイナス
総計:395/500
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