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韓国側発題文

韓国内外国人労働者の直面課題

経実連青年会 金RK

1 はじめに

戦後朝鮮半島では多くの変化があった。外勢によって、日本植民地時代を終えたため、「日帝清算」がきちんとなされないうちにイデオロギーによる分断状況が作られ、同じ民族の間に無数の血を流し、戦争せざるをえなかった。以後、腐敗した親日勢力によって独裁政権、市民革命、軍事独裁政権時代経済的な急成長、民主化運動、IMF管理下の経済危機などなど、世界史を通じても珍しいほど短期間に多くの変化が起きたのである。ある時は、最貧国の一つの国であったし、現在はOECD加入国家になるほど(これについての評価はさておいて)経済的な成長が認められているのである。

その裏には、数多くの人々の犠牲があったということはいうまでもないだろう。民主化及び統一運動を展開した人々は、理念的、政治的な理由で弾圧を受けてきて、経済成長を理屈として労働に対する搾取が公然に行われた。このような反人権的な韓国の状況は、80年代を前後にした弛みない民主化運動のうちにある程度−満足できるほどではないとしても−その結実を果したが、「人間としての尊重されるべき権利」を守るための闘いは今も続いている。特に90年代に入って、韓国社会の前面に浮かび上がった新たな「人権侵害」の問題は、「外国人労働者」と呼ばれている、いわゆる経済的活動を目的として韓国に来た「移住民」にその矛先を向けられている。

ここでは、韓国内の「移住民」、その中でも「移住労働者=外国人労働者」を中心にして、国際環境とその背景、彼、彼女らが置かれている状況、人権侵害事例、課題などを中心に「人権」というものは何なのかについて一緒に考えようと思う。

2.韓国内移住労働者の導入背景

−国際労働市場の変化

1980年以後加速化している全地球的な生産体系の構築、いわゆる「世界主義」による「資本」の国境を越える自由な移動は、すでに植民地征服の歴史から始まっていた。「世界主義」は一つの国家の中であらわしていた貧富の格差を全世界的な範囲まで拡大させていき、以前は、主に自国の資本家に労働力を提供した労働者は、今は、世界の資本家を相手にして労働を提供しなければならない状況になってしまった。

一つの国家内で資本と労働の市場が形成される場合には、富の蓄積による再分配の問題の国家が税金などの形態で介入するのは可能である。しかし、世界的な資本を相手にする場合、特に外国資本の導入が自国の経済にとても大きな影響があると判断される場合、この富の再分配は逆に、資本に有利な方向として検討せざるをえない。去る97年から進行した韓国のIMF管理体制は、これについての克明な例だといえるだろう。資本の恵沢を受けることのできる国家を除いてその周辺に置かれている国家で、個人は結局、相対的にもっと劣悪な労働市場に回り込むようになる。

 

アジア地域では、もう一つの流れが存在するが、第1次オイルショックによる中東国家の、未熟練及び熟練労働者の労働力輸入が進行してしてきた。しかし、原油輸入の減少は主に、アジアの国家から成り立った労働力の輸入を減らしたり、労働条件を悪化させるようになった。一方、東アジア地域の産業国家が、労働力の海外輸出国家から労働力輸入国家に変化している。急速な産業化がなされている国家と、産業化が停滞した人口過剰の国家が共存するアジアで国境を越える労働力移動は、このような変化と共に進行しつづけている。

−韓国労働市場の変化

韓国は60年代から主に熟練及び未熟練労働力を輸出する主な国家の一つだった。特に70年代には、政府の支援を受けながら、中東国家などへの労働力輸出が成り立ち、その絶頂といえる1981年には約15万人の韓国人労働者が中東地域で働くことになり、莫大な送金を通じて、韓国の外債償還にも相当な寄与をした。しかし、80年代に入って中東国家が原油輸入減少によって、開発と支出を減らしたために、急速に落ちてしまった。更に、人件費上昇によって韓国の企業がフィリピンやタイなどの他のアジア国家の安い低給人力を中東建設プロジェクトに引き込むようになった。90年代に入って、この地域に居住する韓国人労働者の数が2万人以下まで落ちることになった。

一方、急速な産業化が進行しながら、80年代末、国内賃金が上昇し、ウォンの評価が切り上げされることにより、不法低給人力を他のアジア国家から輸入することになる。91年まで韓国は50000人以上の、不法未熟練外国人労働者を引き込んだと推定されるが、(「アジア新興産業国家への労働力移住」、Pang Eng Pong1993)中国朝鮮族、フィリピン人、ネパール人などが主をなした。以後、斜陽産業だった石炭産業での人力難解消のため「海外研修生」を合法的な形態で受け入れ、3D産業を中心とした人力難解消のために1994年からは「産業研修生」という制度を運営するようになった。

3.移住労働者の現況と入国形態、労働形態

先に列挙した背景に基づいて、韓国の外国人労働人力輸入現況を眺めてみようと思う。

99年現在、15万人くらいの未登録在留外国人労働者は、約15万名ほどと統計からもれている外国人労働者まで推算すると、17万人ほどに達している。98年8月の法務部資料には、外国人就業者在留現況が以下のように表されている。


▼外国人就業者在留現況
総計 就業ビザ 研修ビザ 不法滞在者
外投資研修生 産業研修生
154,305人 10,604人 16,456人 34,558人 92,686人
100% 6.9% 10.7% 22.4% 60.1%
*99年度に韓国内に滞在している移住労働者の数は20万を超えていると推算される。

就業ビザは主に、教授、外国語指導、研究及び技術指導など専門技術人力として、米国、日本、ヨーロッパなどの人々が主をなしている。しかし、彼、彼女らの数は6.9%という微々たる数にすぎず、それ以外の大部分の合法的な就業形態は「研修生(33.1%)」で、60.1%が不法在留者として分類される。

不法在留者の大部分は、東南アジア及び中国などから入国した人である。最も多いのは中国で52,729人(そのうち朝鮮族が25,503人)、バングラデシュ、フィリピン、パキスタンの順番で続く。先にも説明したが、91年まで不法在留者のほとんどが観光などのビザを持って入国したか、密入国などを通じ、国内で不法的な労働をする形態であった。しかし、90年代「研究生」制度が施行され始め、契約した事業場を無断で離脱し、許可なく、任意の場所で労働を続けるか、契約期間が終わったにもかかわらずビザの延長なしに、そのまま不法的な労働を続けるなど、「研修生」制度と関連した不法在留者が発生し始めた。98年まで「研修生」のうち事業場を無断で離脱し、不法在留者になった人は、52,760人のうち37.5%に達する19,780人であった。

4.外国人労働者が直面する諸問題

−産業研修生というのは

「産業研修生」というのは、韓国と比べて相対的な低開発国家に産業技術を伝達・支援しようと、韓国内で技術習得を保証する制度である。これは表面的な理由に過ぎず、3D業種の人力難解消という方案で合法的な外国人低給未熟練労働者を安く利用しようという意図が濃厚だ。「産業研修生」は個別企業と個人間の契約により、韓国に入ってくるようになり、韓国行政府の解釈によると、契約による「技術研修」を目的として入ってくる産業研修生は、基本的に労働を目的にして入ってくることではないために、労働者としての権利を持てないとされている。すなわち、実際的に労働者として労働力を提供しているにもかかわらず、労働者としての権利は法律的に保証を受けることができないというのがこの制度の一番大きな問題点といえるだろう。従って、このような行政解釈に基づいて、各事業場では多様な労働力搾取及び人権侵害が行われているのである。

−「産業研修生」制度の問題点−契約と送出

現地で韓国の企業の代わりとして、人力送出を代理する送出業態が必要な人力を募集するとき、決まった契約金以外に100~400万ウォンのプレミアを要求している。人力送出業体は、募集者の大部分が韓国事情に暗いという点と、韓国に入って1~2年くらいだけ苦労すれば、たくさんのお金を儲けるという期待心理を利用して、非道徳的な方法でお金を取りまとめている。このようなお金は中国などの国で一般労働者が、2年ほど自身の給料を少しも使わずに稼がなければならない大きなお金だ。韓国中小企業庁ではこのような非道徳的な送出業体には人力割り当てを行わないという措置があるにもかかわらず、いまだに大部分の送出業体が現地で、公然にプレミアを受けている実状だ。このようにやっと、プレミアを支払って入ってくるとしても、また、韓国の研修管理業体で不当にお金を搾取される。彼、彼女らが特定産業体との個人的な契約によって入ってくるという点と契約が破棄された場合、国内で合法的な就労が不可能であるという弱点を握って、労働者をゆすっているのである。

−移住労働者が直面する問題

a.賃金及び労働時間

移住労働者は韓国人労働者と比べて、とても低い水準の賃金を受けている。中国朝鮮族不法在留者の場合、約80万ウォン台、その他外国人不法在留者は50~70万ウォン台、産業研修生の場合30~40万ウォンくらいである。それさえも不法在留者の場合は賃金を事業主から直接受けているが、産業研修生の場合は会社から直接本国へ送金する形態を取っているいるために、中間搾取、詐欺などの危険性がある。このような賃金構造は事業場離脱の原因になることもあるが、労働部が離脱者の発生の1次的な責任を該当企業体に転嫁している状況で、企業体は離脱者防止の抑圧手段として賃金遅配及び送金遅延などを悪用する場合が多い。

研修生であろうと不法在留者であろうと、強制残業と長時間労働が日常化されており、さらに残業手当を受けることができない場合もある。「外国人労働者の家」に届けられた被害事例の中では、1日12時間労働と1ヶ月に2回しか休めなかったにもかかわらず、残業手当を受けることが思い通りに受けることができなかったという内容が少なくない。


b.産業災害及び保険の問題

出入国管理局の行政解釈に、産業研修生は勤労基準法が適用されないとなっているが、93年フィリピン アカノ事件と中国朝鮮族 鄭ギョンホン事件で法院は、勤労条件を締結して、労働力を提供した以上、勤労者としてみとめなければならず、商業災害補助保険の恵沢を受けることを命令した。

しかし、外国人労働者が負傷した場合、事業場の評価点数が落ちるという理由で、補償金を支払うという約束と共に外国人労働者に作業中に受けた負傷ではないこととして申告をするように強要することもある。韓国語ができず、韓国の情報にも暗い、彼、彼女らは補償金に対する誘惑と勤労中断による収入減少に対するおそれから、これに応じるようになり、後で口頭で約束した補償金を支給されず、保険の恵沢も受けられなくなる場合もある。特に、不法在留者として働いていた場合に、このような被害は頻繁に発生している。


c.暴力及び性暴力

外国人労働者が韓国語をできないことを口実に、韓国人管理者が悪口や暴言を吐く場合が頻繁だ。さらに、産業研修契約を破棄するというおそれのために、暴力による被害を受けたり、助成労働者の場合には性的な暴力さえ受けてもこれに抗議したり、法的な措置を取ることができない場合が多い。不法在留者の場合には、強制出国のおそれから、このような暴力に対して無防備だといえる。


d.その他

出入国管理局では、現在、不法在留者に対して、毎月10万ウォンの罰金を賦課しているが、過度な罰金のために、自殺した中国朝鮮族の事例が問題視されたこともある。また、不法在留者の取り締まり過程で過剰取り締まり=暴力を使用した取り締まりのために被害を受けた場合が頻繁に起き、バングラデシュ人アニスの場合は、両足が折れるという負傷を受けても、適切な治療も受けることができず、障害者になったままで強制出国させられたこともある。

出入国管理局は、労働者が入国するとき、彼、彼女らが持っている権利及び生活に必要な情報を知らせる義務があるにもかかわらず、これについて十分な努力を傾けないまま、取り締まりにだけ汲々としている。労働部は産業研修生の募集及び管理の過程で、送出業体及び管理業体に対する監視の努力を傾けていないため不正と搾取、詐欺などの被害が続出している。

5.新たな諸問題−移住労働者、家族、移住民

以上で移住労働者の人権侵害の背景と現況などについて整理してみた。しかし、移住労働者に対する韓国社会の問題は、今や労働者個人を超えて、また新たな領域で考慮されなければならない状況に置かれている。なぜなら、移住労働者が一つの尊重される存在として確認されるということは、彼、彼女らの家族に対する問題もやはり、尊重されるべきだという命題がついてくるからである。彼、彼女らが労働を提供しながら、韓国の経済的な一部分を担当している以上、彼、彼女らの家族が教育、医療、福祉などの恵沢を韓国民と同等に待遇されるべきであるからだ。

しかし、現在、韓国で移住労働者の家族がぶつかる諸問題は労働当事者がぶつかっている諸問題と負けないくらい深刻な状況に置かれている。これは移住労働者の家族が彼、彼女らの国から来た場合とか、または、移住労働者が韓国で韓国民と結婚するとかに関係なく、不当な待遇を受けているということである。特に、法定期限を超過したり、事業場を離脱して滞在している労働者の家族の場合には、公共のほぼすべての部分で、人権侵害の被害を受けている。従って、今や、移住労働者の問題は、移住労働者の家族に対する問題まで拡大されており、ひいては移住民の韓国内での人権の保障に対する問題にまで拡張されるべきである。

南と北という複雑な分断状況に50年余りの間、置かれたことと、軍事独裁政権及び政治によって排他的地域主義の性格さえ、目に付くようになった。その中で、皮膚の色、文化、言語などを理由に、移住民に対する差別が深化し、人権侵害に対する国際的な非難の対象になる状況にまで至っている。

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